三菱UFJ信託銀行 様
SPECIAL TALK
「グローバルで活躍するビジネスリーダーを育てたい」思い
金野:この度、弊学院のTalent Development Program にご参加いただきどうもありがとうございました。これは私どもにとりましても初めての企画でございまして、お二人の参加者に対して1名のアメリカのハーバード大学の卒業生または現役の学生さんに参加してもらいました。これまで1期生、2期生を合わせて16名が修了されましたが、皆さんの反応はいかがでしたか?
坂:(以下 敬称略)
参加者からは「大変タフな研修であった」という声をいただいています。今おっしゃっていただいた通り、グローバルで活躍できる真のビジネスリーダー育成をコンセプトに、かなり中身の濃いものになっておりますので、事前準備も含めて非常に大変だったと思います。「日本にいながらにして、どうやったら異文化のコミュニティの中でハイレベルな学びができるのか」、それは「プレゼンができる」などのような限定的なスキルセットではなく、グローバルで戦える「コミュニケーション力」をどうやって身につけられるのか、ということに真剣に向き合い、皆さんがチャレンジしてくれたからこその反応だと思います。
金野:このようなプログラムを導入しようとお考えになった理由や背景をお聞かせいただけますか?
坂:昨今、グローバル人財育成を掲げない企業はないというほどに一般的なキーワードになっていると思いますが、企業が直面している課題はそれぞれだと思います。私自身、2020年に人事部に赴任しまして、最初に思ったことは、まさにその課題が何であるかを明確にしたいということでした。
じゃあ、グローバル人財ってなんでしょうか?一言で言うと、働く国や場所がどこであっても、キャラクター、スキルなど自身が持っているコンピテンシーを存分に発揮できるコミュニケーション力を要する人材ではないでしょうか。
しかし、このような人財をOJTやOff-JTを通してどのように育てていくのか、これが大変大きな課題です。TDP は、日本にいながらにして、研修生をリアルな異文化コミュニティに身を置かせることができ、その中で、ハーバード大学の大学生、大学院生、卒業生と様々なテーマで高いレベルでのコミュニケーションをとり続けながら、ビジネスシーンでも戦えるようなマインドやスキルセットも身につけてもらえる点が大きな特徴だと思います。これがTDP研修を導入した理由です。
変化してきた求められるグローバル人財像
金野:御行は最大手の信託銀行でありますが、ホームページを拝見しますと、海外支店は現在4支店あるということでしょうか?
坂:純粋な支店はおっしゃる通り4店舗なのですが、海外現地法人はかなり増えました。こういう研修をお願いしている背景でもありますが、海外企業の買収などを通して、弊社のビジネスはグローバルで拡大しており、海外でマネジメントのポジションを担うことができる人財が相当数必要になっています。
金野:M&Aの世界ではPMI、post-merger integrationと言いますね。買収して終わりではなく、そこからがスタートということで、そういった会社さんは経営もさることながら、人的資源といったものを融合していかないとうまくいかないというところですね。
坂:おっしゃる通りですね。異文化コミュニケーションには、まずカルチャーを知ることが重要だと思います。私自身もシンガポールに赴任した時にそれはすごく感じました。
シンガポールでは様々な文化がミックスされており、それぞれが尊重されています。様々な考え方を均一化するのではなく、それぞれを認める、’accept’するという風土ができ上がっているというイメージです。どうしても日本人は真っ先に意見を一つにまとめに行く傾向があります。これは別に悪いことではないと思いますが、いろんな意見を尊重しながら解を見つけることができるようなコミュニケーション力が、今後、更にグローバライズされた社会において必要になってくると考えています。
金野:英語でいう’agree to disagree’というものですね。意見は違う、それは事実として認める一方で、違うことで相手の人格を否定するのではなくて、違うということを理解しあうということですよね。
坂:そうですね。そこにはwin-winの関係があって、どちらも実は間違っていない。どちらが「〇」でどちらが「×」ということではない関係ですね。
4ヵ月のプログラムがもたらす「目に見える変化と成果」
金野:TDPというのは完全オーダーメイドのプログラムであり、今回御行のご要望を受けて企画させていただいたのは、4ヵ月にわたる、全16回のプログラムでしたが、この間、研修生たちにはなにか変化や成長のようなものは感じられましたか?
坂:はい。まず一番感じたのは、コミュニケーションの量ですね。日本では阿吽の呼吸と言って、言葉で明確に伝えなくても、お互いが相手の気持ちを読み取る美学のようなものがありますが、海外ではこれは一切通用しません。自ら意見を明確に伝えないと、コミュニケーションは成り立たないことを肌身で感じてもらい、気づかないうちにコミュニケーションの量が増えていったような気が致します。
また、積極的に議論をファシリテートする姿勢もたくさん見られて、大変頼もしく感じました。最初は、ハーバード生がコミュニケーションを仕切るようなケースが多かったような気が致しましたが、徐々に研修生が自発的にコミュニケーションをリードするような場面が増えていったように思えます。
金野:それは嬉しい変化ですね。TDPではハーバード・ビジネス・スクールで実際使用されているケーススタディを教材に使っていますので、それを読むのも、準備としては大変だったと思います。それを理解して、ポイントをシンセサイズして発表するというのは大変チャレンジングであり、また勉強になったということではないかと思います。
Talent Development Program授業風景(Zoom)
坂:それから、異文化コミュニケーションを重ねたことで、異文化を身近に感じ、いい意味で慣れることができたのではないでしょうか。私自身の経験からも、慣れることは非常に大事であると思っており、コミュニケーションの活性化につながります。週一回の研修内でのコミュニケーションは勿論のこと、研修外でのビジネスメッセージングツール等を使ったコミュニケーションも活用し、可能な限り途切れることなく、異文化コミュニティに身を置くことができたことも奏功したのではないでしょうか。今申し上げたことは、プログラム修了後に受けてもらった効果測定の結果からもわかります。
最初は戸惑いもあったと思いますが、最終回は大変頼もしい表情になっており、今後のキャリアを考えるうえでも貴重な経験になったものと思います。
金野:国際的な企業になればなるほど、人財に対する投資をしっかりやっていくことになると思います。やはり人事の基本、要諦はTalent Development Programではないですけれども、recruit, develop and retain talentですね。人財に投資し、人財が育って長く会社に貢献してくれる。
もちろん研修に力を入れればいれるほど、御行の人財が優秀になって他の企業からリクルートされてしまうというリスクもありますけれども(笑)、そういった人財市場の流動性を高めるということも日本全体にとっては重要なことだと私は思っています。
坂:おっしゃる通りですね。いろいろな意見はあるかもしれませんけれども、やはり組織を強くするためには個が強くないといけませんので、個の力をまず引き上げるということが大切だと思っています。個の力がつけばつくほど、個人としての市場の価値も上がるわけですから、そのようなケースもあるかもしれませんね。TDP導入には、皆さんの個の力を引き上げて、社員と会社がwin-winの関係になる!、そんな思いを込めています。
進化し続けるTalent Development Program
金野:今後、企業様側として、TDPにどんなことを期待されますか?
坂:キーワードは若手社員だと思っています。
昨今の若手社員は、私の年代よりも語学に対するハードルは低い印象です。TOEICのスコアだけで語れるものではありませんが、非常に高いスコアをもって入社される方が多いことを踏まえても、抵抗感はあまりないのではないでしょうか。
現在、研修生の年齢層は30代半ばですが、対象層をより若手の社員にも広げたいです。異文化コミュニケーションを経験してもらい、グローバルな環境で業務に従事することに興味を持ってもらい、早いうちから抵抗感をなくすために、TDPを活用していきたいと考えております。
従来よりもたくさんの方々に受講していただけるようにリアレンジできればと思っております。
TDPは目的に応じて様々なカスタマイズができると思っていますので。改めてご相談させてください。宜しくお願い致します。
2022.11.10日米会話学院にて(左:三菱UFJ信託銀行 坂/右:日米会話学院 金野)
共に金融業界出身のグローバル・ビジネス・パーソンで、人財育成に熱い思いを抱く共通点から、対談では世界ビジネスのトレンドから異文化コミュニケーションの実体験まで、多くの話題に花が咲きました。
Talent Development Program紹介動画-
Harvard生の授業参加風景はこちら